著作紹介Works
3行しか書けない人のための文章教室
LINE、ツイッター、フェイスブックに慣れて…3行書くのがやっとな人でも、“長い文章”がすらすら書ける!朝日新聞ベテラン校閲記者が教える、すぐに使える「書き方」の基本。
「まえがき」から一部抜粋
本書は、文章を書くときに「どこから手を付けていいのかわからない」「せいぜい3行くらいしか書けない」という方を対象に書き下ろしました。「文章を書くことは簡単だ」というつもりはありません。日本語を母国語にして何年も生活してきているのに、文章を書くことがなぜこんなに難しいことだと感じるのでしょう。
それは、文章を書く訓練をしていないからです。学校生活において、日本語で文章を書くカリキュラムよりも英作文に費やす時間の方が、圧倒的に多いからです。作文指導を受けた方は、かなり少なくなっているのではないでしょうか。そして、それを指導するノウハウもほとんどないからです。
しかし社会人になると、途端に報告書、企画書、プレゼンテーションの資料、あいさつ状など、さまざまな文章に触れることになります。自分以外の人にわかってもらえる文章を書こうとしたときに、冒頭に書いたようなせりふが頭を渦巻くのです。
書店のビジネス書コーナーには、たくさんの文章技術に関する本が並んでいます。基本はどれも同じです。しかし、短い文章を長くしていこうという本は、あまりないはずです。3行書けるのならそれを骨にして、5行、10行、50行と少しずつ肉付けしていけばいいのです。内容の伴わないぜい肉をつけるのではなく、わかりやすく伝えるための筋肉を付けていく訓練をしてみましょう。初めは筋肉痛を起こすかもしれません。しかし、慣れれば少しずつ体形が変わるように文章の質と量があがってくるはずです。
名文を目指すことが、本書の役割ではありません。書くという行為は、読んでもらう対象を意識しなくてはなりません。その第一歩は、書くべき内容をわかりやすく、具体的に伝えることだと考えています。本書はそのための伴走をします。
さあ、文章筋トレの時間です。まず3行から始めていきましょう。
2017年 風薫る季節に