著作紹介Works

「言葉の仕組み」と「助詞の使い方」がわかればきっちり!恥ずかしくない!
文章が書ける

「正しく」書くための基本がすべてわかる!

「はじめに」から一部抜粋

 文法を意識しながら文を書く人は、まずいない。文法が分からなくても文は書けるし、たとえ文法が分かっていたとしても、それだけで名文が書けるわけでもない。

 そもそも、言葉は文法より先に成立していた。その言葉を整理・分類したものが文法なのだ。だから日常生活で、文法を意識する場面はほとんどない。文法はせいぜい外国語を学ぶための手段としてしか認識されない。そのせいか、僕たちは日本語文法より英文法の方が詳しかったりする。

 僕は新聞社の校閲という部署に身を置いて30年ほどになる。校閲という仕事は、記者が書いた原稿をすべて確認することにある。限られた時間のなかで、用字・用語を始め、原稿にあるデータを可能な限り確認していく。アメリカの政府が発表したものなら、ホワイトハウスのホームページを参照するし、中国関連の原稿ならインターネットで中国紙にあたったりもする。こうした情報の確認作業は、時間さえあればかなり正確に把握できる。

 しかし、用字・用語については一筋縄ではいかない。なぜこの使い方が間違いなのかを説明する段になると、文法で明解に説明することが難しいのだ。僕の知識不足もあるし、説明しても書き手がそれに応じない場合もある。書き手の感覚や言語環境にも大きく左右されるからだ。さらに言うと、1分、1秒を争う新聞の制作現場で「てにをは」の違いに時間をかける余裕がないという現実もある。それでも、原稿を読んでいてもう少し分かりやすくならないかな、と思うことがある。

 2012年秋からカルチャーセンターで文章講座を受け持つことになった。受講生から「うまく書けない」という声をよく耳にした。うまく書く第一歩は、読み手に「誤解を与えないこと」と「分かりやすく書くこと」。つまり「読み手のために、正確に書くこと」だと、ぼくは思っている。本書の目的もそこにおいた。

2013年春